大宅壮一のベストセラー・ノンフィクションを元にした、ポツダム宣言受諾決定の1945年8月14日正午から、玉音放送が流れる翌15日正午までを描く、気骨溢れる傑作映画です。1967年度キネマ旬報第3位。
…とここまで書いて不安になったのですが、大宅壮一はまぁいいとして、ポツダム宣言とか玉音放送とか、だ…。いやそんなことはないですよね? 安心して進めますよ。
実は、ポツダム宣言受諾決定の後の14日のうちに玉音放送は録音されたわけですが、そのテープをめぐって。政府、軍部、新聞社、メディアの丁々発止が水面下で行われたのです。そして反乱、暴発、悩乱などわずか24時間のうちに様々な事件が発生する。本作品はそれをスピーディーなカット、畳み掛けるテンポのよさ、効率のよいナレーション(仲代達也!)によって整理し、判りやすいダイナミックな娯楽映画となっています。
そして本作の見どころとして、何と言ってもその豪華な出演陣を挙げておきましょう。予告編を見てみると「東宝創立35周年記念映画」の次に、「日本映画演劇陣総出演」とあります。
三船敏郎、志村喬、宮口精二、加東大介の『七人の侍』組!
土屋嘉男、田崎潤、平田昭彦、藤木悠、小泉博の東宝特撮常連組!
中村伸郎、笠智衆、北竜二の後期小津の変態トリオ!
他にも、若大将こと加山雄三、姿三四郎こと藤田進、後の仕置人こと山村聡と高橋悦史、死神博士こと天本英世、「よしわかった」の加藤武、ハングマンこと黒沢年男、ザ・ガードマンこと神山繁、アタック25の児玉清、裸の大将の小林桂樹、矢七の中谷一郎、演劇界の重鎮・島田正吾、他にも戸浦六宏、北村和夫、石山健二郎、伊藤雄之助…、日本映画演劇陣、総出演に偽りはありません。
監督は、『独立愚連隊西へ』『暗黒外の顔役』『肉弾』『座頭市と用心棒』『ブルークリスマス』『ダイナマイトどんどん』『ジャズ大名』『大誘拐』など娯楽映画の傑作を残す名監督。は岡本喜八! 脚本は『七人の侍』『砂の器』など日本を代表する橋本忍!
来年は終戦=敗戦から70年。様々なメディアがこの映画を取り上げること、間違いないでしょう。どうか一足早く1945年8月15日に思いを馳せてみてください。我々はこの日の延長線上にいます。
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