2014年5月1日木曜日

【第20回宮崎映画祭上映作品その2】『丹下左膳餘話 百萬両の壺』

時は江戸時代。ある小藩に、大いなる財産が眠っていた。
その金、なんと百万両! 野暮承知で百万両とはいくらかと答えれば、1両当たり10万円ほどだと答えておきましょう。ということで、この小藩の藩主は大いに盛り上がる。
で、どこにそんな大金がと問えば、先祖代々の「こけ猿の壺」に隠し場所が書いているという…。実はこの先祖代々の壺、汚らしいとの理由で次男が養子先に持っていったのだった。

「しかしあの次男坊、呑気だから、適当なこと言って返せと言えば返しますよ。もしゴネればちょいと金をつかませれば直ぐに軍門に下りますわ、ワハハ」と見事に見下された、百万両の壺の持ち主・柳生源三郎。果たして思惑通り事は進むのか…。

©日活

さてこんなところから始まる『丹下左膳余話 百万両の壺』は、夭逝の天才・山中貞雄の傑作として知られています。
もっともこの山中貞雄も現存作品は3本しかありません。本作と『河内山宗儁』、『人情紙風船』。そのいずれもが日本映画史上に残る傑作ですが、観終わって幸せ極まりない気分になるのは、今回上映する『丹下左膳余話 百万両の壺』でしょう。

実は本作は第5回宮崎映画祭で上映したことがあります。
当時の実行委員会のメンバや、それらの試写を見た人のそれぞれの興奮を思い出します。
いずれの人も、開口一番「面白い!!」といったものです。そう、いずれの人もです。数多くの作品を宮崎映画祭は上映していますが、こんな映画めったやたらにはありませんでした。
ということで20年続く映画祭のベストワンの作品としての上映です。

©日活

「こけ猿の壺」は思いもよらぬ方向に、次々とその真価を誰からも評価されないまま、人から人へと渡っていきます。そして最後、誰がこの壺を手に入れるのか? その時、百万両はどうなるのか? 肩肘張らず、どうか源三郎のように呑気にご覧ください。

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